世界遺産と共に暮らす人びと エジプトヌビア人について調べてみました。
ユネスコの世界遺産活動のきっかけとなったのは、アスワンハイダムの建設による水没からアブ・シンベル遺跡をはじめとするヌビア遺跡群を救おうとするキャンペーンでした。
このヌビア地方には、ヌビア人といって、エジプト人とは異なる風貌の人たちが昔から住んでいました。色黒で、ちぢれた髪をもつ人びとです。自分たちはエジプシャンでもアフリカンでもなく、ヌビア人である、という誇りと、持ち前の人懐っこさで訪れる人を温かく迎えてくれます。アスワンの岩窟墳墓のある丘から北を見ると、集落が広がっています。ヌビア村です。岩窟墳墓下の船着場かの近くからは小型の乗合トラックが出ており、チャーターして周ることもできます。ヌビア人は、エジプトの属国として支配されてきた歴史を持ちます。しかしその独特の言語、文化を維持し、現在でもその面影を垣間見ることができます。
エジプトにはハッジといって巡礼に行った人たちが家の壁に絵を描く習慣があります。通常は、サウジアラビアのメッカに至る交通や神殿の絵が描かれますが、ヌビア人の家々の白い壁には、その他にヌビア特有の絵(羽の生えた動物)が描かれています。ヌビア村の家々の玄関先には、魔よけのワニの剥製が飾られていたりします。また、「ヘンナ」と呼ばれる天然の染料でタトゥーを施す習慣があります。ヌビア風のきれいな幾何学紋様のデザインで、3週間ほど持続します。
確かに、アスワンハイダムの建設により、歴史ある遺跡がその存続を危ぶまれる危機に晒されました。しかしそのダム建設により砂漠に緑が戻りつつあるもの事実です。アブ・シンベル神殿には移築の跡が残っています。